Vol.34アパートメントホテル革命:訪日客が描く旅と暮らしの新融合

旅の常識が変わる瞬間

ホテルの概念が、静かに、しかし確実に進化している。訪日客の間で急速に人気を集める「アパートメントホテル」。そこは単なる宿泊施設ではなく、家族や友人と“暮らすように泊まる”ための空間だ。東京都中央区の「MIMARU東京 STATION EAST」を訪れると、大型スーツケースを引く外国人グループが次々と現れる。日本人にはまだ馴染みが薄いかもしれないが、この施設は旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の「外国人が選ぶ日本のホテルTOP20」で常連の存在だ。アパートメントホテルの未来は、単なるトレンドを超え、旅と日常の境界を溶かす新しいライフスタイルの象徴として、私たちの目の前に広がっている。

非日常から日常へ

従来のホテルが「非日常の贅沢」を売りにしてきたのに対し、アパートメントホテルは「日常の延長」を提供する。運営するコスモスホテルマネジメント(大和ハウスグループ)は、マンション開発のノウハウを活かし、40平方メートル以上の広々とした客室にリビング・ダイニングを備えた空間を生み出した。定員4人以上を想定し、家族やグループでの滞在に最適化されている。

興味深いのは、過剰なサービスをあえて排除している点だ。アメニティーは最小限、朝食もなし。訪日客の5割近くが5泊以上の長期滞在を選び、コンビニで朝食を買って部屋で食べたり、日帰りスキーの拠点にしたりと、まるで地元民のような自由さを楽しんでいる。こうしたニーズは、従来のホテル業界が重視してきた「客室数を増やして収益を上げる」という発想では見逃されてきたものだ。アパートメントホテルは、狭い部屋で効率を追求する時代に終止符を打ち、広さと快適さを求める新しい需要を掘り起こした。

多国籍スタッフが紡ぐ人間味溢れる体験

このホテルのもう一つの魅力は、スタッフにある。施設スタッフの8割が外国籍で、35以上の国や地域から集まった人々だ。採用基準はホテル経験よりも「日本が好き」という情熱。マニュアルに縛られないフレンドリーな接客が、ゲストとの距離を縮める。例えば、あるスタッフは「ブラックカード」を持つ富裕層ゲストに高級寿司店ではなく、自分が愛する回転寿司を勧めた。「高級=満足」とは限らないという柔軟な視点が、訪日客に新鮮な驚きを与えている。

ネットの口コミには「スタッフの○○さんが最高だった」と具体名が挙がることも多い。この人間味溢れるサービスが、アパートメントホテルを単なる「泊まる場所」から「記憶に残る体験」へと昇華させているのだ。

市場拡大と都市の未来

コスモスホテルマネジメントによると、アパートメントホテルは主要5社で既に4000室以上(2024年9月時点)に達している。付帯設備が少ない分、狭い土地でも開発しやすく、都市部の中小ビル建て替えの有力な選択肢として注目されている。民泊も似たニーズに応えるが、小さな子ども連れの家族は、多少価格が高くても(40平方メートルで5万円台)、対面での安心感を重視する傾向にある。アパートメントホテルは、こうした需要を的確に捉え、成長を続けている。

旅と暮らしの境界が消える日

アパートメントホテルの台頭は、単なる宿泊業界の変化ではない。それは、旅の目的が「観光」から「生活体験」にシフトしつつある現代の潮流を映し出す鏡だ。異業種からの参入が相次ぐ中、コスモスホテルマネジメントのような先駆者が切り開いた道は、今後さらに多様なプレイヤーによって拡張されるだろう。都市部の限られた空間を活用しつつ、訪日客に“第二の我が家”を提供するこのモデルは、日本の観光産業に新たな息吹をもたらすかもしれない。

アパートメントホテルは未来のスタンダードか?

家族や友人と過ごす時間が、旅の価値を決める。アパートメントホテルは、そんなシンプルな真実を体現している。広さ、自由さ、人間味——これらが揃えば、非日常の豪華さはなくても心が満たされる。訪日客が求める「日本での暮らし」を叶えるこの形態は、ホテルの未来を再定義するだけでなく、私たち自身のライフスタイルにも新しい視点を与えてくれるだろう。アパートメントホテルは、もはやニッチな存在ではない。それは、旅と日常が交錯する未来のスタンダードだ。

いんふど

〜いんばうんどふどうさんラボ〜 不動産投資や儲かる民泊始め方、法律にも詳しいサポート業者 探すなら 小規模事業者持続化補助金対象の民泊、アパートメントホテル運営代行会社情報 東京・沖縄のairbnbや長期ステイ宿泊レンアルハウスにも特化した空き家再生 資産運用

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